医療,介護の仕事でチームワークを発揮,高めるために必要なものとは?

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医療や介護現場でのチームワークを効果的に発揮するには一体どうすればいいのか?という問いに答えます。
当社のメディアサイトを読んで頂いている方、また、新しく来てくださった方、いつもお世話になっております、企画広報室の石原です。
今回は、当社が運営するセミナー事業【ハロセミ(ハローアイデアセミナー】で開催した「チームで仕事をするための効果的なチームワーク術」の講師を務めて頂いた福田 光洋氏(以下、福田氏)のチームワーク論についてご紹介します。
あなたが、医療や介護現場でチームワークを発揮して、より質の高いケアを発揮したいと考えているなら、その答えが見つかるかもしれません。
チームで効率的な仕事を発揮するチームワーク論についての最初のゴールは「チームワークがうまくいかない原因を見つけることができる」です。
この記事の目次
講師:福田 光洋
経歴
介護老人保険施設で2年半ほど介護士として勤務し、同施設にて支援相談員、通所介護事業所で生活相談員、居宅介護支援事業の管理者、有料老人ホーム(白石の杜)の施設長というキャリアを重ねています。
ケア職の対話の場「Tsuzuru 未来カフェ」を定期的に開催し、介護職の離職防止や活躍の場の創出など、地域との繋がりを意識したカフェを運営しています。
資格
- 社会福祉士
- 介護支援専門員
- アローチャート研究会 公認講師
- 未来をつくるKaigoカフェシリテーター
では、福田氏の医療・介護のチームワーク論についてお届け致します。
医療・介護のチームワーク論
チームワークに必要なもの
信頼関係
信頼関係を構築するものは以下の4つ。
- 共通の目標
- 情報の共有
- 専門性の発揮(個人)
- 環境
そのチームワークに必要な信頼関係をつくることが大前提ではありますが、そもそも医療・介護のチームワークとは?について考えてみましょう。
医療・介護のチームとは?
上記のチームワークを図で表した画像の中心に入る言葉を少し考えてみて下さい。
そこにはどんな言葉をが入るとあなたは思いますか?
上記の画像の中心に入る言葉が、もしかしたら間違っているからチームワークがうまくいかない原因になっているのかもしれません。
記事の最後にその答え(画像の中心に入る言葉)をご紹介していますので、最初に答えを知りたい方は記事のまとめの部分を先読みして下さい。
では、上記の画像の中心に入る言葉を紐解いていきたいと思います。
チームワーク問題を難しくしている理由
- 現場力に応じたチームワーク作り
(自分達の現場力を正しく理解していない) - チームワークと結果
(チームワークが良い→雰囲気が良い→結果が出る!ということではない) - 他業種と介護業界のチームワークの比較
(目的と報酬)
現場力に応じたチームワークづくり
現場に潜む5つの性質
- 現在進行性
- 予測不可能性
- 即興性
- 具体性
- 複雑性
要は「現在進行形で、個別具体的な物事・出来事が進行し、その様相は複雑きわまりなく、かつ予測不可能である場合」ということだと考えられます。
現場がもつ2つの顔
- 業務遂行主体
- 人材育成主体
これら2つを主体を現場は持っていると考えられます。では、これら2つについて解説致します。
業務遂行主体としての現場
- 現場の顔:業務遂行主体
- 特徴:反復性/非同質性
- リスク:刹那的な達成感
定型業務を反復することが本来
現場は日々、定型業務(ルーチン業務)を行っています。その日々の定型業務を毎日反復する必要があり、それを確実に遂行することが価値創造(=サービスの質の向上)に繋がるはずです。
しかし、単調な業務の反復は時として惰性や慣性を生んでしまい、「やれること、出来ることしかしない」という状態に陥りやすくなります。また、定型業務の反復ではありますが、一方で常に「予測できないこと=介護の現場では事故や発熱、スタッフの病欠等」が起こるのも現場の特徴です(非同質性)。
本来の目的から外れてしまうリスク
その不具合を処理することで一定の満足感「今日は忙しかったー、でも仕事したなぁー、お疲れ様ー、乾杯!」という印象を与えてしまうリスクがあります。
本来であれば異常を処理するのではなく無くすことを考えて策を打たなければらないはずが、異常を処理することで達成感を感じてしまうというリスク(刹那的な達成感)が常に現場にはあるということです。
それによって 「仕事をきちんとしてます!」という現場と、「当社は全然 価値を創造出来ていない=サービスの質の向上がなされていない」という本部や管理者との溝が出来てしまうことになってしまいます。
現場の本分は、あくまでも価値を創造することなのですが、異常処理(不具合を処理)だけで達成感を感じてしまっていては、一向に価値は創造出来ない=サービスの質の向上がなされないということになってしまいます。
要は、チームワークという観点から考えた場合、サービスの質の向上に直接つながるチームワークであれば良いのですが、予測できないことに対応にし、ある種の刹那的な達成感を感じで、チームワークを発揮した!ということは、そもそも本来のチームワークの目的から外れていることだと言えるわけです。
人材育成主体としての現場は
- 現場の顔:人材育成主体
- 特徴:同質性/隔絶性
- リスク:現場モンロー主義
同じ意見や考えに偏ってしまう
よくも悪くも言えることではありますが、同じ教育システムでスタッフを教育するので、同じような考えや意見を持った人材が育ちやすい(同質性)。
また現場は、外部と隔絶された世界ですので、自分達が行っていることと外部(他社もそうですが 会社内の部署間でもそうです)の比較が出来ず、結果「自分達さえよければ良い」等の考えに陥りやすい(現場モンロー主義)というリスクを抱えています。
一枚岩だからチームワークが良いとは断言できない
同じ意見や同じ考えを持つスタッフ同士なら、チームの一体感が生まれやすいので効率的なチームワークが発揮できると思ってしまいます。しかし、先ほどお伝えしたように、「自分達さえよければ良い」という大きな落とし穴がありますので、良い方向に進んでいる時は良いのですが、悪い方向に向かっている時に、外部からの修正が効かないというリスクがあります。
要は、チームワークという観点から考えた場合、同じ意見や考えを持ったチームでは、外部との比較(他者評価など)ができないというリスクが考えられるので、偏った考えに陥り、良い悪いの判断が鈍ってしまう恐れがあるので、より良いチームワークではない可能性があると言えます。
現場を形成する3つの能力
- 保つ能力(平凡な現場)
- よりよくする能力
- 新しいものを生み出す能力 (非凡な現場)
以下にひとつずつ解説していきます。
保つ能力(平凡な現場)
決められたことを決められたように行うということは、医療や介護現場にとっても当たり前のことであり、基本中の基本になります。この基本的な能力を現場が発揮できないと、現場が生み出す基本的価値が安定的に担保できなくなります。
要は、定型業務ということです。
よりよくする能力
「よりよく」するという言葉には、日々を「改善していく」ということが言えます。リアルタイムに進行される医療・介護の現場をにおいて、「改善」は絶対的に必須な能力です。「改善」が「微差」であっても、一人一人が日々の業務で「微差」を積み重ねる事で決定的な差となります。
新しいものを生み出す能力 (非凡な現場)
日々の業務を遂行しながら、日々の業務に追われたり、先ほども説明したとおり、不具合を処理することだけい留まることなく、全く新しい価値を生み出す革新的な取り組みのことをいいます。
これらの3つの現場を形成することから、高いか低いかによって能力レベルが分かれることになります。それはもちろん、チームワークを効率的に発揮するためにも、とても大切な能力になってきます。
そして、これらのことを踏まえて考えてみても、当たり前のことを当たり前にできる「標準」のない現場はありえないということをしっかりと認識し、日頃から「標準」をルーチン化したマニュアルを更新していくことがもっともチームワークを築く上で不可欠であると言えるのではないでしょうか。
チームワークを発揮する上でのルール
チームワークに必要なものは?ということで、冒頭で信頼関係ということを伝えました。その信頼関係ありきで、実際にチームワークを発揮する場合、ルールがあるのとルールがないのとでは、明らかに前者の方がチームワークを発揮するためには不可欠だと考えられます。
しかし、チームワークを発揮することは、千差万別の世界だとも言えます。
ルールのありなしで 成果も変わる
例えば、信頼関係ありきのチームが3つあるとします。その3つのチーム(各5〜6人)に、「日本の国旗をなるべく正確に書いて下さい」という議題と共に、以下のルールをそれぞれに持たせたとします(実際にハロセミの研修で行いました)。
- 日本の国旗をかなり正確に書ける説明書付き。(チーム内は無言)
- 日本の国旗国旗をある程度正確に書ける説明書付き。(チーム内で話す)
- 日本の国旗をご自由に書いてとだけ書かれた紙。(チーム内で話す)
これらの3つのルールを設けて、実際に日本の国旗をそれぞれのチームで書いてもらいました。
チーム① かなり正確に書ける説明書付き
「かなり正確に書ける☓無言」というルールの上で、説明書に書かれたことを忠実に再現しようと、説明書通りに協力して日本の国旗を完成させた。無言というルールがあり、お互いにコミュニケーションを取ることが全くできない状況ではありましたが、日本の国旗をかなり正確に書き終えた結果となりました。
チームの雰囲気としては、お互いコミュニケーションを取ったり話さなくても日本の国旗を正確に書ける説明書がありましたので、無言という縛りもあり、終始静かな感じで淡々とこなしていました。
チーム② ある程度正確に書ける説明書付き
「ある程度正確に書ける☓話す」というルールの上で、説明書に書かれた日本の国旗を再現しようとお互いコミュニケーションを取りながらながら試行錯誤で日本の国旗をある程度正確に書き終えた結果となりました。
チームの雰囲気としては、ある程度の日本の国旗を正確に書ける説明書がありましたので、とりあえずそれに従いつつ、わからないことがあれば、お互いがコミュニケーションを取りながら進めていました。
チーム③ ご自由に書いてとだけ書かれた紙
「自由に書く」というルールの上で、とりあえず考えられるチーム内での思考と計算(大まかなもので、忠実さに欠ける)で日本の国旗を書き終えた結果となりました。
チームの雰囲気としては、お互い和気あいあい楽しく話しながら、コミュニケーションをたくさん取りながら進めていました。
どのチームが一番チームワークを発揮したと言えるのか?
この3つの事例からすると、ある程度の良質な結果をチームワークを発揮して得るためには、チーム①に課せられた「ルール=説明書は必須」ということが言えます。しかし逆に、コミュニケーションを一切とらなくても、「ルール=説明書は必須」があれば結果が出るということになりますので、チーム③のようにスタッフ同士でコミュニケーションを取る必要はないという結果にもなったわけです。
つまり、チームワークとしては、結果だけを求めるならチーム①、楽しく良好な人間関係や信頼関係を構築しながら結果を求めるならチーム③となったわけです。
色んな人がいて良いの?
職場で、それぞれのスタッフの個性を尊重して「色々な人がいて良い」という考えは、素晴らしい考えだと思います。しかし、見方によっては、チームワークを発揮すると考えた場合はどうでしょうか。
10人いるスタッフの1人が「チームワークを良くして、利用者さまの自立支援を目指そう!」と言い出したとして、残り9人が「その前に、業務に追われていることをなんとかしたい!」と考えていたとします。もちろん、医療や介護現場では「自立支援」という考えは最も大切なことです。
しかし、それが正義とか悪ということではなく、それが正論や曲論ということでもないとした場合、チームワークを乱しているのは果たしてどちらでしょうか?
明らかに前者がチームワークを乱していると思いませんか?
つまりチームワークとは、環境や状況の違いによって、求められる結果に応じたチームワークを発揮する必要があると考えられます。
要は「チームワークに正しい答えはない」ということです。結果を出すためのチーム、コミュニケーションを図って楽しく図るチームなど、それぞれに課せられる目標がチームワークを発揮する鍵となると考えられます。
医療・介護でチームワークを発揮するために
では、冒頭でお伝えしました、以下の画像の中心に入る言葉に話を戻してみましょう。
例えば、上記の医療・介護チームではなく、リレーのチームとだとして、オリンピックでメダルを獲るという目標においてのチームワークの図を表しているとしたらこうなります。
もちろん、画像の中心に入る言葉は「メダルを獲る」という言葉が入ります。すなわち、画像の中心に入る言葉は”目標”を入れることがチームワークとしては成り立つということです。
つまり、これを医療・介護現場のチームワークに置き換えて考えてみると……
こうなりますか?
このように利用者を中心に考えるということを、多くの方々はチームワーク、つまりチームケアだと認識しているのではないでしょうか?
でもよく見てみて下さい。
何かおかしいと思いませんか?
チームワークは目標が鍵
先ほどお伝えしたように、チームワークは色々な状況や環境によって変化するものだと考えるとわかりやすいので、医療・介護のチームワークを考えるのであれば、以下のように画像の中心に入る言葉を”目標”にしてみましょう。
このように”目標”を正しく設定することができれば、効果的なチームワークを発揮することができるというひとつの答えにたどり着くことができます。
まとめ
あらゆる側面からチームワークということを考えた場合、良好な人間関係が必要のない場合もあるし必要な場合もあって、ルールが必要な場合もあるしルールが必要ではない場合もあります。
要は、チームワークを発揮する上で、”目標”に応じたチームのルールを作ることが鍵となります。
例えば、医療・介護の現場でのチームワークについて、利用者様の目標が”自立支援”という目標よりも、”買い物を一人でできるようになる”というわかりやすい目標を掲げたチーム作りを行えば、自ずとチーム内でのチームワークは発揮しやすくなると考えられるわけです。
そうなれば、冒頭でお伝えしたように、チームで効率的な仕事を発揮するチームワーク論についての最初のゴール「チームワークがうまくいかない原因を見つけることができる」ようになるので、目標を達成するための問題解決もシンプルになやすい=チームワークを発揮できるという答えにたどり着けそうです。
もちろんこれが正確な答えであるとは言えませんが、あなたが、医療や介護現場でチームワークを発揮して、より質の高いケアを発揮したいと考えているなら、その答えのひとつとして、結果を出すチームワーク術になるのではないでしょうか’?
ぜひ活用してみて下さい!
最後まで読んで頂きありがとうございました。
記事監修:福田 光洋(白石の杜)
参照元:NAKAHARA-LAB
参照元:遠藤 功
参照元:日本クレアス