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デンマークが幸せな国と言わる理由 社会保障やノーマライゼーションの考え方の背景と課題。

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企画広報を中心に、当社メディアサイトの運営やデザイン、記事の担当をしています。ロスジェネ世代の1981年生まれ。バイタル勤続15年目(2019年現在)を迎えています。自社の様々な活動や介護福祉のより良い情報を発信するために、日々奮闘中。僭越な文章ではありますが、暖かい心でお読み下さい。

社会福祉国家デンマークが”福祉国家”であり、「世界一幸福な国」と言われる理由に迫ります。

当社のメディアサイトを読んで頂いている方、また、新しく来てくださった方、いつもお世話になっております、企画広報室の石原です。

この記事では、当社協賛のもと、デンマークより、フォド・スヴェンセンさん、エヴァ・スヴェンセンさん、千葉忠生先生をお呼びして開催された「ノーマリゼーション in 長崎」のフォド・スヴェンセンさんの講演①”安心して老いられる老後「社会福祉国家と介護保険制度国家の課題」”の講演の内容を掲載しています。

あなたが社会福祉国家デンマークの社会福祉に興味があり、勉強してみたい!または、実際に現地に行きたい!と考えている方なら、参考になると思います。

以下より、興味のある講演も合わせてお読み下さい。

では、講演① ”安心して老いられる老後「社会福祉国家と介護保険制度国家の課題」”についてお届けします。

安心して老いられる老後「社会福祉国家と介護保険制度国家の課題」

講演者|Frode Svendsen(フォド スヴェンセン)

フォドスヴェンセン 写真

社会福祉国家デンマーク

社会福祉国家デンマークでは、例えば以下のような幅広いサービスを国民が受ける権利(可能性)があることが特徴である。

  • 個々のニーズを確実に満たすために必要な福祉医療支援(例えば、家庭医制度、ケースワーカー制度、補助器具の無料貸与)
  • 保育ママ、保育園、幼稚園等待機児童0.必要に応じ障がい者等に対する24時間対応型の入居施設。
  • 65歳以上の者全員に支給される国民年金。今後は受給年齢が上げられる。
  • 障がい者に対する早期年金受給の吟味(国民年金受給以前、18歳以上の心身障がい者に支給される)。
  • 病休手当、休業手当、失業保険給付。
  • 生活保護費(現金支給)扶助。
  • 住宅援助金(特に低所得者や障がい者、高齢者センターに居住する高齢者に支給)
  • 教育を受ける権利、学校教育費無料、SU国が保証する育英資金制度。
  • 医療保健治療費無料

1)民主国家デンマークの歩み/歴史

デンマークの社会福祉の歴史は古い。いくつかの市民団体が草案にに加わり1849年、憲法が制定され国民から選出された議会政治の発足が、福祉国家の始まりである。 1915年に女性が選挙権を得た後、1920年代から教育、社会、住宅その他の国民問題を国策とする方向に向かっていった。第二次世界大戦以後その傾向はより強くなった。

デンマークの社会構造は、ますます公共サービスの必要性に適応していった。、1970年には大規模な地方自治体改革が実施され、それまで1400余りあった小規模な自治体が合併により275の地方自治体に削減された。同時に県の数は28から14に減少した。この時点から地方自治体および県はそれぞれ住民に対し自治体税を課せることが出来、県や地方自治体(市町村)は独自の税収による独自の社会福祉サーヴィスを実施できるようになった。

2007年に実施された再度の地方自治体改革の結果、地方自治体の数は98に減少し、県は(部分的に)廃止され5つの広域地方自治体(州)に置き換えられた。州の主要な行政は国からの交付金による医療、病院の運営となった。98の地方自治体は政府からの交付金と(市町村民)税によって直接住民に関係する社会福祉サーヴィス、即ち保育園や幼稚園、小中学校、高齢者政策、労働市場や環境問題等を主な仕事とする。地方自治体は地方分権が発達しているため経済的に自立していると言える。

過去100年以上の歴史を持つ労働組合および雇用者団体は、協定を通じて社会福祉の発展と適正な労働条件の規制と確保のために重要な組織(パートナー)であった。いわゆる「デンマーク・モデル」となっている。

2)団体、協会の国デンマーク

さらに、デンマークでは他の民間団体、例えば障がい者、疾病者、教育、環境問題、交通などの問題点を検討、提議する団体のネットワークが発達し社会的問題を指摘し解決を可能にている。

デンマークの議会制度の特徴は、これらの組織団体が国が実施する政策の制度化に影響を与えていることである。したがって、それぞれの団体は社会がどのように機能するかに関する全体的な決定の共同責任を取ることになる。

デンマーク= 非常に発達した組織(組合)の国= は、19世紀ころから活発になった情報公開の動きに根ざす伝統を持っている。例えばフォルケホイスコーレ(Fokehøjskole)、農業協同組合運動が好例である。

デンマークの社会保障などについて

  • 早期年金
  • 早期退職年金
  • 国民年金
  • 失業保険給付
  • 生活保護費
  • 住宅援助金
  • 無料医療治療
  • 学校教育費無料
  • 育英資金(SU)制度等に対する国庫負担

1)税金の使い道

上述社会福祉給付金等は直接税、(特別)物品税と消費税によって賄われている。国民が連帯感をもって納税し、福祉サーヴィスを受ける権利を維持しているのである。国および地方自治体は、国民に所得税を課すことが出来る。

社会福祉サーヴィスの受給権利は、住民が「全て無料」として認識しているが、財源は国民が国や地方自治体に支払う税金によっている。要するに公的福祉給付へのアクセスが個人の収入と財産に依存しない共生、連帯の社会制度である。

一般的にデンマーク国民は国民に提供される社会福祉サービスに満足している。しかし、福祉サーヴィスの権利を得るために市民が守らなければならない納税義務基準(累進課税)についての議論が絶えず成されている。

したがって、解決策の一つは、税負担を軽減することが可能かどうかであり、これに関連して、どの分野の福祉サーヴィスを削減するかである。

言及したように、デンマーク社会の多くの民間団体などは、それぞれの趣旨によって、組織団体の利益が関与しているので、各組織団体は、資金調達に必要な社会的、医療保健衛生的、教育的または環境的発展の高水準を確保するために高い税金の圧力を維持するかどうかについて意見を持っている。障がい者団体、消費者団体の影響力は大きい。

社会福祉サーヴィス等の枠組みを決定するのは政府(国会)であり、その経済的予算規模を決定するのも政府と議会である。社会福祉サーヴィスの実践、例えば病院、高齢者センター、障がい者福祉の運営は、州や、地方自治体議会が予算運営等決定する。

地方自治体は、市議会の希望を満たすために制限なしで所得税を徴収することはできない。公共財政と公共支出の限度は、政府と地方自治体によって協議し決定される。同意できない場合は、公共支出の額を決定するのは国である。

2)EUとの共生に向けた施策

EUとは緊密な協力関係にあるが、EUで採択された法令に従いデンマーク国会で議決される手順で、デンマーク制度への挑戦が生じる。デンマークは税制による公共サーヴィスが行われるが、EU諸国の大半は保険制度である。EUの市民でデンマークで生活してる人はEUの住民の権利により納税無しでもデンマークの福祉サーヴィスを受けられる。働いている人は、納税することによってデンマークの社会保障給付を自国に持ち帰ってまでも受けることができる。

社会福祉サービスについて

98の地方自治体、5つの広域地方自治体(州)と多数の国立行政機関が国民教育や住民に社会福祉サービスを提供する。

1)行政改革による地方分権で地方自治体の責任分野の変化

現在の地方自治体の数が275から98に減少し、14の県が5つの州になったのは2007年からである。この改革で地方自治体自体が取り組まなければならない課題は、地方分権が強化され地方自治体の住民に対する責任分野が増加したことである。

ほとんどすべての福祉、医療保健サービスを住民に供給するのは、98の市町村と5つの州である。すなわち、国会で採択された福祉法案を実践するのは州と地方自治体である。

2)医療サービス

州の主な任務は医療保健サービスである。- 先ずは第一に病院の管理運営である。

3)福祉、初等教育の担当

地方自治体は高齢者のための初歩的介護、ならびに実質的な支援を提供し、特別な社会的ケアを必要とする障がい者や失業者、ホームレス、麻薬中毒者、精神障がいなどを持つ人々のための福祉サーヴィスを実践する。また、国民学校(小中学校)を担当するのも地方自治体である。

4)独立行政機関

国は教育、例えば大学(大学院)、大学(学士号取得の看護師、PT,OT,ソーシャルワーカー)、中卒で入学できる職業別訓練学校を担当している。教育機関の大部分には各自運営委員会(理事会)があり、地域の企業や地方自治体から理事は選出さている。理事会の課題の一つは地元の労働市場の需要を満たす責任をも持っている。

さらに、国の課題として非常に大な福祉給付財源の確保、すなわち学生のため必要な基本所得を保証する国家育英資金制度(SU)があり、加えて学生の授業料は無料で実施する事ある。

5)地方自治体の財源

地方自治体は国からの地方交付金と自治体が独自で運営しているサービス事業の収入や固定資産税などの税収で自治体福祉サーヴィスや初等教育の費用を賄っている。

地方自治体自体の教育、福祉サーヴィスの基準は国の法律の枠組みの中で決定することが出来る。

州の経済、保健医療費は、国の地方交付金で全て賄われている。

州ならびに地方自治体への国からの地方交付金は、人口構成、地理的条件、鉄道、道路、電力など経済活動を支える恒久的な公共基幹施設等、福祉サービスの水準などを含む多くの要因に基づいて算出される。

経済、資源、対策について

主に、専門分野における経済的課題、十分な経済を維持する専門教育分野の資源確保、少子高齢化対策について。

1)経済的課題―労働人口の低下

政府、国会、州、地方自治体、労働組合、その他の民間団体の間では、法律で要求される公共サーヴィスの需要を満たすための財源が不十分であるという議論が継続している。実際には、社会福祉国家の限界についての議論が常にある – 国がどこまで公共サーヴィスを継続実施できるかなどである。

人口の推移は平均寿命が上昇しているということで例えば、国民年金受給年齢の継続的な調整が行われている。今後の世代は国民年金を65歳と受け取ることは期待できず、70歳近くになるまで待たなければならなくなる。

しかし、現時点では高齢化の一方出生率はあまり低くなく、家族への援助、介護およ看護、ホームヘルパーなど、将来的に定められた社会サーヴィスの条件を満たす労働力が充足している。

7〜8年前の経済危機(リーマンショック)が発生した時、失業率の上昇に伴い、失業給付や現金給付などの社会サーヴィスへの負担が増大した。逆に、2018年のデンマーク社会の一部の地域では労働力の不足があり、それ故労働力の確保のために国民年金の受給年齢を引き上げる正当な理由にもなり柔軟な労働力供給に繋ぐ事になった。

デンマークでは、出生率はさほど悪くはないが、労働人口の低下を招いている。「労働人口(16歳-66歳)の推移は2020年64%、2030年60%、2040年58%とピークとなり2050年には59%と上昇」。現在は比較的高齢の市民がいること、子供がいる家族へのよりよい公共サービスの需要性を満たすために効果的な教育と労働力の確保が必要である。

国民年金受給年齢を上げることにより、多くの人々がより長期間労働市場に留まることが保証されたので、近年教育分野はかなりの関心を集めている。十分な職業訓練場所を確保するためと、実用的な職人技の需要さらには新技術開発など熟練労働者を十分に確保するためである。

2)経済的課題-医療、社会福祉サービヴィスの内容の見直し

医療保健・社会福祉の分野では、市民のニーズを迅速かつ効率的に評価処理するとともに、各種、福祉医療サービスの調査と治療の保証が求められている。調査および治療に関する保証は、市民が効果的かつできるだけ迅速に支援されることを目的としている。

複雑な病気の治療のより良い可能性を見出すため、絶え間なく増え続ける医療は、財源の圧迫を増加させる。逆に、より良い治療とは、人々が労働市場に早く戻ることをも意味する。

3)経済的課題-未来に向けての挑戦

  • 引き続き各種税金による税収で社会サーヴィスを継続できるか?
  • 各種税金の限度額はどこまで可能か?
  • 高税は国内で労働市場を確保できるか?
  • 高い税金で生産性と輸出を維持し続けることができるか?
  • 多くの近隣諸国は保険制度を活用しているが、•デンマークの社会福祉サーヴィスは税金によって維維され続けるか?
  • 社会福祉国家を維持するために十分な労働力があるか?

4)専門教育的課題

  • 私たちは福祉国家を維持するために十分な有資格者労働力を確保する専門教育をしているか?たとえば、平均寿命の伸びに比べて、出生率が比較的低いという観点から?
  • 満足できる資格を取得できる十分な教育しているか?労働力は柔軟に活用できるか?
  • 社会福祉国家はどれほど先の未来まで継続できるか、今対処しなければならないことがあるか? – 例えば住民に対する必要最小限の支援、あるいは個人負担。

5)現状に対する解決策

労働力の供給を増やすため、国民年金の受給年齢を前述のように引き上げる。将来の国民年金受給年齢は平均寿命の上昇により決まる。 同時に、高齢者が通常の定年後の仕事に既存の技能を生かして留まったり、高齢者に合った特別な仕事に付くことがますます一般的になってくる。

さらに、ボランテアによって解決されるいくつかの課題がある。例えば高齢者訪問や高齢者と共にサイクリングするとか、小中学生の宿題を学校で手伝うなど公共サービスを補助するものと見られている。これらのことは高齢者の孤独を慰めるのみならず積極的にボランテア活動をするという生きがいにも繋がる。

これは、社会福祉サーヴィスを保持するために絶えず検討されることで、いろいろな資格、技能を持った失業者の雇用機会へもつながり 有効に活用することができる。

法に基づいた社会福祉サーヴィスをするために、財政支出の大幅な需要の増加に伴い、労働供給と雇用の双方を増やすために、国は刺激的により低い所得税及び法人税等の措置を取った。

地方行政改革によるデンマーク社会の主要分野における最近の重要な変革は例えば医療保健分野、教育部門、そして労働市場などである。その目的は社会福祉国家はこれまで達成してきたレベルをキープする必要があるので、公共の福祉サーヴィス無しで可能な限り住民の自立を促進させるためである。

この問題は継続的な検討が必要である。、例えば、医療制度や社会体制の中で国民のニーズを満たす具体的な新しい方法の支援を提供しなければならない – 個々人に対する支援の提供する方法は異なる。経済的な問題の解決支援策を希望してるかどうか – これらの問題を解決する可能性は、例えば、個人の年齢に見合った、あるいは就業状況などを考慮し最大限の治療生活支援(例えば硬化症、あるいは認知症に対する)を減らすことが出来るか?

無料で受けられる大学教育とSUに依存し長期留年在学する教育の新しい価値観を見出す必要がある。教育が「廃棄物」の一部になったり、サボる学生がいたり、なんども教育のやり直しができる現状の教育制度を維持することができるか?

我々のパートナーであるEU諸国は保険制度社会サーヴィスを実施しているが、デンマークはEU内にありつつ税収を持ってを社会福祉サーヴィスしていることを課題として挙げることができる。ある意味でデンマークはEU市民のためにも社会福祉サーヴィすをしてることにもなる。

デンマークに短期滞在して働いていたEU市民が、帰国したとき時にデンマークの社会保障給付を受ける資格がある。例えば、休業手当、児童手当の受給続行などがあげられるので、これはEUとの継続的な交渉が必要である。

まとめ

デンマークでは高額な納税義務が課されている。これは、医療治療に対する新たな要望など、公共サーヴィスに対する新たな要求が絶え間なく出現することによって高まる課題である。

したがって、公共サービスの適切な企画運営には常に重点が置かれており、できるだけ低コストでサービスを提供することが重要である。入院を避けるための他の治療法の研究開発:患者は自宅で遠隔医療治療を受けられたり、またはITが診察のサポートをして、例えば投薬やリハビリ等の訓練プログラムの指示をITで出すことが出来る。

デンマークでは福祉制度(住民向けのサービス)を維持するための一般的なコンセンサスがあるが、税負担が高くなり過ぎず、魅力的な労働市場を保持しかつ拡大させたいという希望があるので、このジレンマは、すべての人に現在の保健医療サービスを提供し続け、すべての人々への良い社会サービス、学校、教育的条件を確実に保障したいという要望とともに、デンマークの政治議論の本質を作っている。しかし、社会サービスを低くしようと主張する政党はいづれも選挙に勝つことは出来ない。

講演内容:Frode Svendsen

最後に

ということで、当社協賛のもと、デンマークより、フォド・スヴェンセンさん、エヴァ・スヴェンセンさん、千葉忠生先生をお呼びして開催された「ノーマリゼーション in 長崎」のフォド・スヴェンセンさんの講演①”安心して老いられる老後「社会福祉国家と介護保険制度国家の課題」”の講演の内容を掲載しました。

あなたが社会福祉国家デンマークの社会福祉に興味があり、勉強してみたい!または、実際に現地に行きたい!と考えている方なら、参考になったのではないでしょうか。

以下より、他の講演も合わせてお読み下さい。

この記事を書いている人 - WRITER -
企画広報を中心に、当社メディアサイトの運営やデザイン、記事の担当をしています。ロスジェネ世代の1981年生まれ。バイタル勤続15年目(2019年現在)を迎えています。自社の様々な活動や介護福祉のより良い情報を発信するために、日々奮闘中。僭越な文章ではありますが、暖かい心でお読み下さい。

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